「日本破局」はあるのか?

あると思って間違いないだろう。いや、もうすでにカウントダウンは始まっている。

それを感じられないから、世界から「茹でガエル」と言われるのだ。

「日本破局」はあるのか?

 
子供が、年金はまずなくなる
という危機感を持っています
だから、貯金をしなければ、と思っている

私は言います
しかし、将来、金が紙くずになる時が来る可能性があるんだよ

 
 
 
以下転載です

「日本破局
の危機感はどこへ…フジマキが今でも“あおる”ワケ
AERA 2019/10/04 07:00

“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、財政破綻への危機感がなくなったことに警鐘を鳴らす。
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<20XX年──。ある週末の夜、首相官邸の記者会見場は熱気に満ちていた。緊急会見に臨んだ首相が震えた声で切り出した。(中略)だが、会見の最中から外国為替市場で円安ドル高が一気に加速。週明けの市場でも国債が投げ売りされ、長期金利は跳ね上がった。株価も過去最大の下落幅に。市場は「日本売り」一色となった。「お札が紙くずになる」「預金封鎖も近々ある」。うわさがネット上を飛び交い、現金を引き出そうと、銀行には長蛇の列ができた。貴金属店は、金塊や宝石を買い求める人でごったがえした。輸入品などの物価が高騰。ガソリンは連日1リットル当たり10円以上値上がりし、野菜や肉、魚も2倍以上の値段に。スーパーには「クレジットカードや電子マネーでの支払いはお断りします」との張り紙。人々は現金をかき集め、日用品の買い占めに走った>
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 こんな「破局のシナリオ」が現実になるかもというと、またフジマキが大ボラを吹いている、と思われた読者も多いだろう。しかし、このシミュレーション記事は2010年3月7日付の朝日新聞の1面に「悪夢『20XX年日本破綻(はたん)』」(五郎丸健一記者)というタイトルで載ったものなのだ。

あれから9年半。この警告は現実になる気配はない。まさか、「あおり記事」だったのか?
 そうだとしたら、1997年から「財政破綻の危機」を警告していた私は世の中をあおりまくっていたことになる。第2条に「財政が危機的状況にある」と書かれた財政構造改革法(結局凍結)を成立させた故橋本龍太郎元首相も同じだろう。
 朝日新聞橋本元首相、私の警告が外れていることはうれしいことだ。当時は国民の間に多少はあった危機感も、なくなってきたように思える。「デフレなのにハイパーインフレになるわけがない」などと、私もよく非難される。
 しかし、事態は改善したのだろうか? 国の実力ともいえる名目GDPは97年当時に比べ多少増えたが、税収はあまり増えていない。97年度に53.9兆円だった税収は、19年度予算では62.5兆円。一方で、借金総額は2倍になってしまった。財政の危機的状況を橋本元首相が認識していた当時より、返済が2倍も難しくなったということだ。
 危機感がなくなったのは、13年から政府・日銀が「異次元緩和」という名目のもと、実質的な財政ファイナンスを始めたからだ。政府の借金を中央銀行が紙幣を刷ってファイナンスしたため、危機はいったん回避できたかもしれない。だが危機の先送りにすぎず、日本人得意の「飛ばし」だ。
 ハイパーインフレを起こした経験から世界中で禁止されている政策を、まさか日銀が始めるとは、当時の私も、橋本元首相も、朝日新聞も思いもしなかった。金融をかじったものならば、「禁じ手中の禁じ手」を中央銀行が実施するとは、想像だにしなかったはずだ。
 損失を先送りする限界がきて山一証券がつぶれたように、「飛ばし」はいつまでも続けられない。限界を超えた時の痛みはすさまじいものとなる。

私は何事も起こらなそうに思える今でも、「シートベルトをお締めください」と警告し続けている。事態は改善されるどころか、さらに悪化しているのだから。
週刊朝日  2019年10月11日号