トランプは世界革命のリーダーではない。トランプを操る勢力の狙い。(ヤス先生)

 

トランプは世界革命のリーダーではない。トランプを操る勢力の狙い。(ヤス先生) 

この件については、様々な意見があって、私にはさっぱりわかりません。希望的観測をしてしまうだけです。

 

マネーボイス

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なぜバイデン勝利確定を無視して暴挙に?トランプを操る勢力の狙い=高島康司

バイデンの勝利は揺るがないにもかかわらず、なぜ一部の共和党議員は開票結果の確定に異議を唱えるのか?その答えとして、トランプの背景にいる本当の勢力について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2021年1月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

 

アメリカの分裂が始まった

いよいよ激動の2021年が明けた。今年は昨年以上に激動の年になると思われる。このメルマガでは、大きな変動に事前に備えるためにも、日本では報道されない重要な情報を紹介してゆく。今年も期待してもらいたい。早速、今回のメインテーマを書く。共和党の背後にいるリバタリアン勢力の実態についてである。

1月6日に上下両院合同会議が開催され、そこで12月14日に行われた本選挙の開票が実施されているものの、やはり予想された通り、議会前では混乱が続いている。

この記事は1月7日の午前に書いているが、トランプの呼びかけで議会に向かったトランプ支持者の一部が議会に侵入した。周囲で平和的に抗議していた女性1人が、警察に首を撃たれてで死亡した。ワシントン市はデモ隊を排除するために、1,100人の州兵を動員した。議会内からは暴徒は排除され、トランプ大統領も家に帰るように促した。

また8つの民兵組織が連合したサイト、「ミリシア・ミー(Militia.me)」では、不正選挙によって民主主義が奪われたとして、武装闘争の開始を宣言した。筆者は3年前の2018年に「2020年にアメリカは分裂する」という本を書いたが、まさにこの本で予想した通りの状況になりつつある。

ただ、開票結果はすでに決まっているので、ジョー・バイデンの第46代大統領就任が確定する予定だ。

日本でも報道されているので周知だろうが、この開票に異議を主張する上院議員と下院議員が現れた。テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員を筆頭にした11人の現職と新人議員たちだ。彼らは、不正選挙の主張を検証するため、議会が委員会を設置するよう求め、選挙結果の最終確定を10日間延期するよう主張している。さらに共和党からは、約140人の下院議員が、バイデンの当選の認定に反対する意向を示している。

この動きは、合衆国憲法修正第12条で、それぞれ1名以上の下院議員と上院議員が選挙結果の確定に異議を主張すると、2時間ほど開票作業を止めて審議し、その後に選挙結果を確定するのかどうか投票する規定になっているからだ。共和党の一部の議員は、この規定に基づき、少なくともバイデンの勝利を未確定にするつもりだ。

だが、これが実現されるためには、上下両院の過半数の票がなければならない。いまは共和党の首脳陣と大多数の共和党議員はバイデンの勝利を認めているので、投票をしてもこの決定が覆ることは実質的に不可能であると見られている。

 

異議を唱える共和党議員の背後にはコーク一族

では、いまの状況となってはバイデンの勝利は揺るがないにもかかわらず、なぜ一部の共和党議員は開票結果の確定に異議を唱えているのだろうか?

バイデン政権の発足後もトランプは国民運動のリーダーとして影響力を維持し続けるため、これを自分の支持基盤に取り込むためのパフォーマンスだという見方も強い。自分は最後までトランプを支持したという国民へのアピールだ。しかし、詳しく調べると、それ以外にも理由があることが見えてくる。

ちなみにアメリカには「特別政治活動委員会(スーパーPAC)」という制度がある。これは企業や団体、そして個人から資金を集めるための政治資金団体のことである。2010年からは、個人や企業が献金できる金額に制限がなくなった。いまは超富裕層が、自分が支持する政党や政治組織に無制限に献金するための仲介組織になっている。

今回、バイデンの勝利確定に異議を主張しているテッド・クルーズをはじめとした11人の共和党上院議員への資金の流れを見ると、極めて興味深いことが分かった。11人の上院議員には、122の「スーパーPAC」から、440万ドルの政治献金が行われていた。それぞれの議員には、少なくとも1万ドル以上が献金されていた。

特にそのなかでも最大の献金をしたのが、超富裕層のリバタリアンの中核であるチャールズ・コークの「スーパーPAC」である。ここは、トランプと直接会い、上下両院合同会議で異議を唱えることを約束した7人の共和党上院議員に、彼らの政治活動資金として総額で19万8,500ドルを寄付していた。

もちろん、チャールズ・コークが献金したからといって、今回の共和党議員による異議申し立てがコークの支持で行われたわけではないだろう。19万8,500ドルは2,000万円とちょっとだ。政治献金の額としてはすごく大きいわけではない。

ただ、はっきりしていることは、チャールズ・コークはバイデンの勝利を認めておらず、選挙結果の異議申し立てを強く支持しているということだ。やはり、トランプ政権の継続を願っている。

共和党全体を買い取った超富裕層リバタリアン

ところで、当メルマガでは前回、自由貿易を主張してトランプの保護関税と移民規制に反対するチャールズ・コークはトランプと決裂したと書いた。それは間違いない。しかしながら、コークは共和党に莫大な献金を続けており、影響力は巨大だ。

また、2020年の大統領選挙におけるトランプへの大口献金者のリストを見ると、金融業、エネルギー産業、ギャンブル、不動産業が主要な献金者だが、そうしたなかでも突出した額の献金をしているのが、ティモシー・メロンという人物だ。彼は共和党に3,000万ドルを寄付しており、トランプの大統領選挙にはそのうち1,000万ドルを献金している。

ティモシー・メロンはアメリカを代表する金融財閥、「メロン財閥」の総帥だ。そして、コーク一族とならぶリバタリニズムの信奉者である。政府機能を極限し、社会全体は規制のない純粋な市場原理で運営されるべきだと主張する点ではチャールズ・コークと変わりがない。さらにメロンは一歩踏み込み、ユダヤ・キリスト教の原理によって社会は統治されるべきだと主張する。

これは、既存のアメリカを一度解体し、ユダヤ・キリスト教の原理に基づいて再構築すべきだとしているスティーブ・バノンと類似した考えだ。この人物がトランプ陣営の最大献金者である。

また、トランプには直接献金していないものの、チャールズ・コークも共和党に対して大口の献金をしている。850万ドルである。

このように見ると、現在の共和党は、規制のまったくない市場原理の支配と統治を主張する超富裕層の一派に買い取られてしまったかのような状況なのだ。

 

「草の根」と「超富裕層」2種類のリバタリアン

ところで、超富裕層のリバタリアンという表現をすると違和感を感じる読者もいるかもしれない。筆者にもリバタリアンとは市民による草の根の運動なので、超富裕層がなぜリバタリアンなのかピンとこないというメールをいくつかもらった。理解できる質問だ。

実は、リバタリニズムはその思想を支持する社会階層によって、2種類あると考えたほうがよいだろう。

ひとつは、もともとアメリカ社会のなかに根強く存在している草の根のリバタリニズムだ。これは、連邦政府の介入をすべて拒否し、政治や経済など社会にかかわるすべてのことは、地域共同体にゆだねることを主張する共同体主義の思想だ。こうしたリバタリアンは、住民が民兵となって武装し、共同体を外敵の侵入から守ることを主張している。共同体の権利を脅かす大きな連邦政府の存在は認めていない。

こうした共同体主義の草の根リバタリアンには、異民族や異教徒を排除して、ユダヤ・キリスト教の原理に基づく白人だけの社会構築を目標にした白人至上主義者や、聖書の原理に忠実に基づいた社会を追求するキリスト教原理主義の福音派の集団とも強い親和性がある。どちらの集団も、大きな力を持つ強い連邦政府の存在を脅威として考え、それに抵抗することでは、リバタリアンと同様の信条を持つ。

一方、超富裕層のリバタリアンは、連邦政府の弱体化ないしは解体という点では草の根のリバタリアンと一致するものの、その後に実現させるべき社会として彼らが考えているのは、企業活動への一切の規制のない純粋な市場原理が支配する社会だ。

ヘイトグループを支援する超富裕層のリバタリアン

こうした相違は存在するものの、両者には興味深い関係がある。超富裕層のリバタリアンが、自分たちが理想とするアジェンダを実行する道具として、草の根のリバタリアンや白人至上主義を利用するという関係だ。資金の流れを探ると、こうした関係がはっきりと見えてくる。

「ドナーズトラスト(DonorsTrust)」という財団がある。ここは富裕層からの献金を得て、それをリバタリアンや保守系の団体や組織に資金提供するための財団だ。献金者の名前を公表する法的な義務がないので、ダークマネーのATMと呼ばれている。

しかし、誰が献金しているのかは明らかになっている。それらは、「サラ・スカイフ財団」や「マーサー財団」などの大きな財団が中心だった。ちなみに「ザ・サラ・スカイフ財団」とは、ティモシー・メロンが総帥の「メロン財閥」の一族であるサラ・メロン・スカイフが設立したリバタリアンの財団である。

また「マーサー財団」は、前回の記事で解説した大手ヘッジファンドの「ルネサンス・テクノロジーズ」の代表、ロバート・マーサーとその娘のレベッカ・マーサーの財団である。マーサー父娘はコーク一族以上に過激なリバタリアンだ。市場原理とユダヤ・キリスト教の原理が支配する白人を中心とした社会を夢想している。

また、「アドルフ・クアーズ財団」もある。これは日本でもよく知られているビールの「クアーズ」の創業者が設立した財団だ。やはりユダヤ・キリストの倫理と規制のない市場原理に基づく社会の構築を目指すリバタリアンの財団だ。

彼らは、「ドナーズトラスト」を通じて莫大な資金を、イスラム教を激しく攻撃する団体や、反LGBTの団体、さらに白人至上主義の団体に献金していた。ちなみに「ザ・サラ・スカイフ財団」は、2014年から2018年にかけて、4つの過激なヘイトグループに400万ドルを寄付している。

また「アドルフ・クアーズ財団」は、同じ期間に420万ドルを寄付している。そのうちの一部は、反イスラム主義を標榜し、ユダヤ・キリスト教の原理の擁護を主張する極右の組織、「デビッド・ホロウイッツ・フリーダム・センター」に寄付している。そして「マーサー財団」だが、1090万ドルを反イスラムのヘイトグループなどに寄付している。

トランプ政権が発足した2017年以降、露骨な人種差別の白人至上主義者や、反イスラムを主張し、移民を排斥するヘイトグループ、そして白人の共同体の自己防衛の権利を標榜する武装した民兵組織など、これまで政治の主流から排除されてきた過激な集団や組織が一斉に現れた。彼らはみんなトランプの熱烈な支持者だった。

こうした集団が、トランプが就任するといきなり出現したことに強い違和感を感じた。オバマ政権のときは、こうした集団の活動はほとんど目立たなかった。むしろ目立っていたのは「ティーパーティー運動」だった。しかしトランプ政権になったとたん、あれほど拡大していた「ティーパーティー運動」は一気に陰を潜め、反対に過激なヘイトグループが出現したのだ。これは驚きであった。

前回の記事にも書いたように、「ティーパーティー運動」は、コーク一族が資金を提供して始まった運動であった。全米300カ所に運動拠点を作り、そこに訓練されたプロの運動員を多数配置した。「ティーパーティー運動」はそのようにしてコーク一族が組織したことは、いまは明らかになっている。このような過去の事例を見ると、トランプ政権の発足から突然と出現した多くのヘイトグループも、やはりリバタリアンの超富裕層の資金提供によって活性化した運動と見て間違いないだろう。

 

アジェンダ実現のためにヘイトグループを利用

では、超富裕層のリバタリアンは、なぜ同じリバタリアン系の草の根のヘイトグループを資金的に支援しているのだろうか?それは、リバタリアンのアジェンダを実現するための道具として使っているのだと思う。

リバタリアンのアジェンダは、ユダヤ・キリスト教の倫理と規制のない純粋な市場原理が支配し、政府の機能が極限まで縮小した社会だ。それは弱肉強食で、資本家の個人的な心情であるユダヤ・キリスト教の倫理に基づく行動によって、公教育やセイフティーネットなどの基本的な社会サービスが維持される社会だ。

これはホワイトハウスの元主席戦略官で、いまもトランプを強く支援しているスティーブ・バノンの思想と強い親和性のある考え方だ。

バノンの思想

バノンの思想の大きな柱になっているのは、ユダヤ・キリスト教の価値への回帰と再興である。バノンはアメリカの資本主義が暴走し、あまりに巨大な格差を生み出した最大の原因は、資本家がユダヤ・キリスト教の価値観を喪失し、あまりに自己中心的になったためだと考える。

アメリカは、市場原理に支配される自由な社会であるべきだ。これは基本である。もしユダヤ・キリスト教の価値観が普遍的に信じられているなら、資本家は社会的格差を縮小するために積極的に寄付を行い、社会に貢献する。こうした資本家の行動によって社会福祉がゆきわたり、格差は是正されるはずだと見る。

これこそ、アメリカの伝統的な価値に基づいた本来あるべき資本主義の形である。アメリカ社会が今後も存続するためには、資本家をはじめとした国民は、このユダヤ・キリスト教の伝統的な価値観へと回帰しなければならないとバノンは考える。

だが、伝統的な宗教的価値観への回帰は簡単なことではない。巨大な権力を持つ大きな政府、ユダヤ・キリスト教の価値を否定する教育やメディア、そしてグローバルな金融経済システムが生み出した支配エリートなど、現代のアメリカにはびこり、宗教的な倫理が欠如した既存の制度とシステムを根本から破壊し、ユダヤ・キリスト教の価値観を基礎にした社会に再構成しなければならないとバノンは考える。

これは、新しい社会へと再生するための創造的な破壊にほかならない。破壊こそ、理想的な社会を実現するためにはなくてはならないものだ。

道具としてのトランプと草の根リバタリアン

このように見ると、超富裕層のリバタリアンにとって、トランプとヘイトグループを含めた草の根リバタリアンがどのような存在であるのか明確に分かってくる。

それは、バノンのいうアメリカの創造的な破壊を実行し、リバタリアンの理想とする市場原理と、ユダヤ・キリスト教の倫理が支配する社会を実現するための道具だということでである。

 

トランプは世界革命のリーダーではない

いまアメリカだけではなく、ヨーロッパや日本でも、トランプをアメリカ第2革命のリーダーや、世界を解放する世界革命のリーダーとして崇拝する動きに拍車がかかっている。

しかし、トランプはそのような存在ではまったくないと見たほうがよい。トランプは、超富裕層のリバタリアンがアジェンダを実現するために作り出した道具であると考えられる。

だがトランプは、グローバリゼーションの流れに乗れずに没落した労働者階層の代弁者ではなかったのか?また、こうした状況で「Qアノン」はどのような位置付けになるのだろうか?

実は、自分たちの政治的なアジェンダを実現するための政治的なリソースとして巧妙に利用されたのが、没落した労働者階層の燃えたぎるような怒りだった。そして「Qアノン」は、実はポンペオ国務長官につながる情報機関の別動隊であったことが分かってきた。

これはあまりに記事が長くなるので、次回のメルマガで詳しく書く。

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