こういうデマゴーグを流す新聞は不買に限る!

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北朝鮮の乱獲」論を批判する

 7月20日の「北國新聞」に「北の乱獲『死活問題』」という大見出しが踊っている。

 6月上旬に能登小木港からイカ漁に出漁し、18日に帰港したときの記事だが、同日の「北陸中日新聞」を見ると、「昨年急増した北朝鮮などの違法操業船は今季はほとんど見られない」と報道している。

 また、7月24日の共同通信記事は、「大和堆周辺で、5月下旬以降これまでに延べ625隻に排他的経済水域EEZ)からの退去警告を出し、うち122隻に放水で対応した…昨年の同時期は警告が1000隻以上、放水が300隻以上に達していた」(「琉球新報」)と報道している。(EEZ論については、2017年9月7日「論考 米日による北朝鮮侵略戦争を阻止しよう!」)

 要するに、6月出漁時に、北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)漁船が激減しているにもかかわらず、「北國新聞」はイカ不漁の責任を北朝鮮になすりつけているのである。

イカ不漁の原因
 スルメイカ漁の不漁にはいくつもの要因がある。北朝鮮漁船にだけ責任を負わせるのは誤りである。①スルメイカ発生(産卵)地域の水温、②日本海(東海)・大和堆の水温上昇、③日本漁船の漁法高度化の問題などについても検証しなければならない。

 日本海区水産研究所は「対馬暖流の秋季の水温が平均して0・2~0・3度高く、産卵や稚イカの生存に適していない可能性」を指摘している。また、北海道大学の桜井教授は「冬季に東シナ海(東中国海)で生まれ、太平洋回りで北陸沿岸に泳ぎ着くスルメイカも減っている。東シナ海(東中国海)の海水温が下がって産卵に向かない環境になっている可能性」を指摘している。(1919年1月17日「北陸中日新聞」)

 水産工学研究所(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)のホームページには、イカ漁のシステムについて詳述している。①イカは光に向かって遊泳する、②イカは夜間表層付近に分布する、③漁獲したイカの目は暗いところに順応した状態にある、④操業時にはイカは船影に多く分布するという。(写真は水産工学研究所HPより)



 船上に大光量の集魚灯を点灯し、周辺のイカをかき集め、イカ漁船付近におびき寄せ、船影(船底付近)に集まってくるイカを疑似餌をつけた釣り糸で引っかけて釣り上げるのである。こうして、日本漁業資本は日本海(東海)のイカを長年にわたって、大量に獲ってきたのである。また、追い込み漁や定置網を使った定置網漁もおこなわれている。

日本による乱獲と大量消費
 全国いか加工業共同組合のホームページには、1894年(明治27年)以降のイカ漁獲高の資料があり、それによると、戦前のスルメイカの最高漁獲量は年間約19万トン(1925年)で、戦後になって、格段に増加し、ピークは年間約67万トン(1968年)であった。

 1960年代は年間平均約46万トン、1970年代は約33万トン、1980年代は約18万トン、1990年代は約30万トン、2000年代は約25万トン、2010~2016年の平均は約17万トンである。近年のスルメイカ漁獲量の低減は、最近の北朝鮮漁船よりも、長年にわたる日本漁船による乱獲が一因となっているのではないか。

 ウィキペデイアには「世界のスルメイカ漁獲量の筆頭は日本であり、最大消費国・最大輸出国ともに日本。そしてその最大輸出先はアメリカ合衆国である」とも書かれている。日本の庶民がイカを食えないのは北朝鮮のせいだなどと排外主義をあおらず、日本漁業資本による乱獲をやめ、アメリカなどへの輸出をやめ、適正な消費量を獲ればいいのではないか。


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日本海(東海)大和堆におけるイカ漁について(2018年1月~2019年7月)
―主として「北陸中日新聞
20190720 スルメイカ漁厳しい船出(北朝鮮船見あたらず)
20190615 大和堆の警備強化
20190511 輪島市門前町黒島海岸に木造船漂着
20190509 志賀町赤崎海岸に木造船漂着
20190424 志賀町西海海岸に木造船漂着
20190325 内灘町西荒屋海岸に木造船漂着
20190312 白山市徳光海岸に木造船漂着
20190306 珠洲市片岩町海岸に木造船漂着
20190223 志賀町上野海岸に木造船漂着
20190217 加賀市片野海岸に木造船漂着
20190119 輪島市名舟町海岸に転覆木造船漂着
20190118 珠洲市川浦町沖合に転覆木造船漂流
20190115 内灘海岸に木造船(木片)漂着
20190114 青森沖に木造船―船内に2人
20190113 志賀町赤崎海岸に木造船漂着
20190109 隠岐の島に木造船漂着―4人保護
20190109 羽咋市千里浜海岸に木造船漂着
20190108 輪島市門前町かほく市志賀町鹿頭海岸で、木造船漂着
20190101 志賀に木造船漂着

20181227 小木イカ釣り不漁深刻
20181225 韓国レーダー使用否定
20181222 韓国艦海自機に照射。大和堆対策を強化―海保、巡視船と新型機配備
20181220 木造船の一部が羽咋の海岸に漂着
20181219 輪島に木造船漂着―船尾にハングル
20181213 北朝鮮木造船か、珠洲の海岸漂着
20181212 北朝鮮木造船か―志賀の海岸漂着。北の木造船木片?白山の海岸に漂着
20181203 かほく漂着船内、人や残留物なし。
20181203 舳倉島付近に木造船が漂流、左舷側にハングル
20181202 漂流の木造船漂着―かほく
20181125 輪島にも木片漂着―木造船の一部下
20181124 志賀、輪島に木造船漂着―日本会側次々、ハングル表記。京都、新潟でも。
20181122 北朝鮮船の漂着は台風一因
20181116 大和堆で日韓漁船衝突
20181024 北の違法漁船増す脅威―昨年の倍以上、鋼船も。
20180929 漂着船遺骨など朝鮮総連に返還―日赤石川県支部。大島海水浴場に木片漂着
20180622 大和堆「断固たる姿勢を」海保などに石川県知事要望
20180602 北朝鮮船退去警告112隻―大和堆の漁期控え早くも海保が警戒
20180304 内灘海岸に木造船の一部?漂着
20180303 漂着船対策 拉致被害者家族ら
20180223 北朝鮮籍?輪島の海岸に漂着
20180222 輪島の海岸に木造船や木片
20180221 金沢港沖に木造船が漂着
20180214 木造船3隻が漂着―羽咋、志賀、輪島、北朝鮮船か
20180212 加賀の海岸に木造船が漂着
20180210 北?の木造船、かほくに漂着
20180209 輪島の海岸に木造船が漂着
20180203 金沢沖64キロで木造船が転覆―空自機が発見。木造船「日本もっと関心を」
20180131 木造船一部?破片、志賀の海岸に漂着
20180130 外国船取り締まり強化を
20180129 千里浜海岸に木造船が漂着―船体にハングル
20180125 志賀の海岸に木造船漂着
20180117 粗末な船、荒波にのまれ昨秋急増
20180117 金沢漂着船内に7遺体.木造船周辺に生活用品。
20180116 漂着木造船関連か、別の遺体を発見、金沢。
20180106 美川沖で転覆した木造船